EXCELで風配図を自作する
外構設計に際して注意すべき点の一つに卓越風があります.卓越風は恒常風とも言い,住宅内の風の通り道を考えたり,生垣や樹木の設計に際して考慮する必要があります.
以前は大阪市立大学の三木信博先生の作成した風配図が参照できたのですが,残念ながら現在リンク切れとなっています.そこで気象庁の過去の気象データから作成することにしました.
http://www.data.jma.go.jp/obd/stats/etrn/index.php
このページで住んでいる地域,年月日,データの種類でフィルタを掛けて絞り込みます.結果として5種類の表が抽出されます.主な要素,詳細(降水量),詳細(気温),詳細(風・日照),詳細(雪)です.このうち詳細(風・日照)ボタンを押し,結果をEXCELに展開し,最多風向と平均風速以外削除します.
ここで方角を散布図に変換するために三角関数を使用します.通常私たちが慣れ親しんでいる角度は度数法といって,時計の3時の方向が0度,左回りに一回転して360度ですが,三角関数ではラジアンという弧度法の単位に変換する必要があります.仮に方角がA列,度数法がB列に入力してあり,ラジアンをC列に入力したいとします.さらに風速1m/sの風を東西方向と南北方向の2成分に分解します.
この式をコピーペーストすると,結果は以下のようになります.北と南の東西風速は当然0になる筈ですが計算誤差の結果0になっていません.また西の南北風速が0になっていないのも同じ理由です.
C2=RADIANS(B2)
D2=COS(C2)
E2=SIN(C2)
A | B | C | D | E | |
---|---|---|---|---|---|
1 | 方角 | 度数法 | ラジアン | 東西 | 南北 |
2 | 東 | 0 | 0 | 1 | 0 |
3 | 東北東 | 22.5 | 0.392699082 | 0.923879533 | 0.382683432 |
4 | 北東 | 45 | 0.785398163 | 0.707106781 | 0.707106781 |
5 | 北北東 | 67.5 | 1.178097245 | 0.382683432 | 0.923879533 |
6 | 北 | 90 | 1.570796327 | 6.12574E-17 | 1 |
7 | 北北西 | 112.5 | 1.963495408 | -0.382683432 | 0.923879533 |
8 | 北西 | 125 | 2.181661565 | -0.573576436 | 0.819152044 |
9 | 西北西 | 147.5 | 2.574360647 | -0.843391446 | 0.537299608 |
10 | 西 | 180 | 3.141592654 | -1 | 1.22515E-16 |
11 | 西南西 | 202.5 | 3.534291735 | -0.923879533 | -0.382683432 |
12 | 南西 | 225 | 3.926990817 | -0.707106781 | -0.707106781 |
13 | 南南西 | 247.5 | 4.319689899 | -0.382683432 | -0.923879533 |
14 | 南 | 270 | 4.71238898 | -1.83772E-16 | -1 |
15 | 南南東 | 292.5 | 5.105088062 | 0.382683432 | -0.923879533 |
16 | 南東 | 315 | 5.497787144 | 0.707106781 | -0.707106781 |
17 | 東南東 | 337.5 | 5.890486225 | 0.923879533 | -0.382683432 |
後は平均風速を東西と南北に分解して散布図にするだけです.1月の平均風速がB22に,風向がH22に入力されているとし,東西風速をK22,南北風速をL22に入力するとします.
この式を12ヶ月分コピーペーストします.データ系列の指定でX軸にK列を指定し,Y軸にL列を指定して散布図を描くと簡易風配図の出来上がりです.
K22=INDEX($A$2:$E$17, MATCH(H22, $A$2:$A$17, 0), 4)*B22
L22=INDEX($A$2:$E$17, MATCH(H22, $A$2:$A$17, 0), 5)*B22
※追記
風配図の正確な書き方は以下のドキュメントに詳しく記されています.p81から始まるドキュメントのp118から記述があります.
www2.kaiyodai.ac.jp/~murayama/research/kisyou_2.doc